2018年度 関西大学入試問題<数学>全体講評

●関西大学 全体講評(数学)

目次

出題者の意図

関西大学の数学の入試問題では、高校での数学を正しく理解し、単なる暗記ではなく自ら考えることができる受験生を選抜することを目的とし、基礎力が正確に評価できるような標準的な問題を中心に出題することを心掛けている。
特に固定されたポリシーではないが、近年の出題傾向として次が挙げられるであろう。

理系受験の出題傾向

「数学Ⅲ」からの出題率が概して高いが、これは計算の対象となる関数や数式自体についていろいろ問うことで、「数学Ⅰ、Ⅱ」の内容もある程度カバーできるからである。
整数の性質、座標空間、ベクトル、数列等、「数学A、B」の内容も軽視しておらず、実際に定期的に出題している。
ただし、少数の大問だけでは、重要な題材全てを織り込むことは難しい。
そこで、各日程とも「小問集合」を導入して、大問では問えなかった話題を押さえている。

文系受験の出題傾向

出題範囲に「数学Ⅲ」は含まれない。
各日程は、大問3つで構成されることが多い。
各日程でカバーできる範囲は限られるが、日程ごとに出題の重点をずらすことで、全日程トータルでは満遍なく出題するように心掛けている。
個々の問題では、難易度のバラつきがどうしても出てしまうが、問題の組合せを工夫することで、難易度の平準化に努めている。
また、社会科の諸科目との選択であることも考慮し、難しくなりすぎないよう、注意を払っている。

心がけたい3つのポイント

理系文系にかかわらず、採点中に特に気になった点や、受験生に注意してもらいたい点を3つ挙げる。

その1 いつも以上に注意深く
問題文を注意深く読まなかったことが原因となり、正答に至らなかったと思われる答案や、基本事項を正確に理解していないために正答に至らなかった答案が多く見られた。
問題文をよく読んで、何を問われているかを正確に理解することは、あらゆる試験の基本である(特に小問集の場合、いわゆる「部分点」を出しにくいので、ちょっとした勘違いが致命的となる)。
また、単なる計算練習にとどまることなく、基本的な概念を正確に理解しておくことが大切である。

その2 論理的な解答づくり
記述式の問題において、単に式を羅列する、あるいは、論旨が不明確な議論を展開するなど、論理的記述が十分にできていない答案が見られた。
記述式の問題では、解答者の推論の過程が正しくなされているかも評価の対象となり、最終的ないわゆる「答え」は評価の一部にすぎないと心得て、普段から推論の過程を大切にする学習を心掛けることが肝要であろう。

その3 面倒臭がらず、基本を大切に
括弧のつけ方や積分記号の書き方などに関する基本的な約束事が十分身についていない答案が見られた。
基本的な約束をいいかげんなままにしておくことは、計算ミスの原因ともなる。
最初は面倒に思えても、正しい習慣を身につけることが、余計な失点を抑えることにも繋がる。

理系受験者へ

また、これは特に理系について言えることであるが、しっかりと計算訓練を積んでもらいたい。
特に、積分(置換積分、部分積分)に関する公式の記憶が曖昧な答案が例年目立つが、これらは計算練習をある程度の量をこなさないと身につきにくいものである。

やはり「基礎」を大切に

本学の数学の入試問題は、基礎的な力を十分身につけていれば解けるはずの標準的な問題がほとんどである(大問の一部に「変化球」的な要素を取り入れることもときにはあるが、それでも1つの問題の中盤まではスタンダードな形に抑えているつもりである)。
したがって、確実に得点をあげるには、上に述べた点に注意しつつ、教科書の内容を正しく理解し、基本的な問題に取り組んでいくことが大切であろう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次