2018年度 関西大学入試問題<世界史>全体講評

●関西大学 全体講評(世界史)

目次

出題範囲

出題に当たっては、高等学校における世界史の学習の成果を問うという観点から、例年のごとく各出版社から出ている高等学校世界史Bの教科書の内容に準拠するよう努めた。
出題形式は、全問マークセンス方式であり、解答に当たっては答案内容がはっきりとわかるように、きちんとマークするようにしてほしい。
なお、配点は、1問が2点となっている。

出題の配分と解くコツ

各大問には、10間の設問からなるものと15問の設問からなるものとがある。
いずれの問題も、文章をよく読んで設問の前後の文脈を理解すれば、解答の候補は2~3にしぼりこめるはずであり、そのうえで最も適当と思えるものを選べばよい。
そのようにして一度解答を求めたうえ、次は逆の作業をしてみる。上にあげた解答の候補の中から時代、テーマ等の条件から見て当てはまりそうもない選択肢を省いていく。
その結果、残された解答がもともと求めたそれと同じかどうかを確認してみれば、ケアレスミスによる誤りを防げるであろう。

正答率や注意点

○思想や文学・芸術など文化史に関わる問題の正答率
それ以外の分野のものと比べ、若干低かったように思う。
高等学校の世界史の教科書に出てくる文化史の事項は、教養として一般的に知っておくべき事柄が多いので、勉強しておいて決して無駄にはならないはずである。
しっかりと準備したうえ試験に臨むようにしてほしい。

○政治史の分野
19世紀前半のヨーロッパのウィーン体制を揺るがした七月革命、二月革命、三月革命についての混同が見られたり、19世紀後半のイタリア統一の過程についてのミスが目立ったりした。
政治史に関わる事象は、ある現象が生じた結果として、次の現象が生じるというように時間軸の中の因果関係として展開するものである。
歴史上の基本的な事項については、年代順に整理したうえ正確に理解することが必要であろう。

試験に向けて身につけたいこと

次に、グローバル化がすすむ現代世界を反映し、歴史の世界も変わりつつある。
それは、一国史ではなく、ある同じ時期の異なる空間を鳥瞰的に把握することである。
従来のような、歴史学習における縦方向の整理だけでなく、横のつながり、水平的把握にも努めてほしい。

また、歴史地理の感覚もしっかり身につけておいてほしい。
地図を使った問題や文章中で位置関係を尋ねる問題が出題されているのは、教科書の中にあらわれる地名を単なる場所の名前ではなく、歴史の中のある空問を占めた場所として理解しているかどうかを問うためである。
世界史の教科書には多くの歴史地図が載せられているので、それらから歴史上の位置関係を整理して把握しておくことが重要であろう。

受験生全体の弱点

毎年のことであるが、年代問題が弱い。特に近現代史の年代・年号は、受験生自身が生きている世界に直結するものであり、その意味では、はるか古代の年号を覚えるのとは、意味が異なるだろう。
まずは、現在の諸問題の淵源を時系列にさかのぼり、重要事項の年号を把握する作業はしてほしい。

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