2018年度 関西大学入試問題<英語>全体講評

●関西大学 全体講評(英語)

現在、英語は国際社会でコミュニケーションを図るための共通語として、また情報を収集し発信するツールとしてあらゆる分野で不可欠の役割を果たしている。
今後、このような役割をもつ英語を運用できる有為な人材の育成がより一層大学に求められる状況のもと、本学の英語入学試験問題は、受験生諸君が本学での勉学に必要とされる英語の基礎をどの程度習得しているのかを測ることを目的として出題されている。
以下では、問〔Ⅰ〕、〔Ⅱ〕、〔Ⅲ〕のそれぞれについて解説する。

目次

〔Ⅰ〕のセクションAは、会話文を素材にした空所補充問題である。

空所は(背景にある感情も含む)会話の流れを考えながら答えるように作られている。
次のセクションBは、1つのまとまった文章を再現するために、与えられた6つのパートの並べ方を答える問題である。
あるパートが全体の何番目に来るか、といういわば「絶対位置」ではなく、あるパートの後に続くのはどれか、といういわば「相対位置」を答える形式になっている。
これによって受験者の英語力をより精密に測定することが可能になる。
解答に当たっては、内容的なつながり(coherence)とともに、つなぎ言葉(therefore; however; next; finally等)や代名詞などの形式的なつながり(cohesion)に注意を払うことが何よりも大切である。

〔Ⅱ〕は物語文(narrative)や説明文(expository)を素材として、2種類の問題が設けられている。

最初のセクションAは、本文を読みながら空所を補充する問題である。
空所はその前後の情報だけでなく、物語文を例に取れば、ストーリーの展開、登場人物同士の関係、視点、感情、全体のトーンなど全般的に内容を把握していないと正答できないものから、文法・語彙に関するものまで設定されている。
次のセクションBの問題は、全体の内容把握を問うものである。
英文そのものは比較的読みやすいものが多かったが、ローカルな(部分的な)情報だけを見ている場合は正答に至らないという解答傾向が顕著に表れていた。

〔Ⅲ〕は説明文を素材として、2種類の問題が作られている。

最初のセクションAは、下線部の比較的ローカルな意味に関する選択問題、セクションBは全体の内容把握に関する選択問題である。
セクションAの下線部に関する指示文で、”Which of the following has a meaning closest to Underline X?”(下線部Xの意味に最も近いものはどれか)というのは、下線部の英語に関する言い換え表現を選択するものであり、”What does Underline X imply?”(下線部Xから読み取れるものはどれか)、あるいは”What does the author want to tell most in Underline X?”(下線部Xで筆者が最も言いたいことはどれか)というのは、英文の表面的な意味ではなく、そこから読み取れる内容に注意を向け、推測を働かせることが求められる。
セクションBについては、英文全体の論理展開、各文章の役割、散在している情報の統合、全体の内容把握をもとに解答するよう問題を設定している。

最後に、受験生諸君に要望したいのは…

まず高校生に必須とされる語彙力と文法知識をしっかりと習得することである。
そして、さまざまなジャンルの英文を題材とし、ローカルな情報をもとに読み進めるというボトムアップ的な読み方と、全体の意味を取りながら読むというトップダウン的な読み方の両方を行い、内容をきっちりと捉える訓練を普段から積み重ねてほしい。
大意把握はローカルな細部も正しく把握して達成できることである。
しかしながら、ローカルな細部に注意を払うと同時に、グローバルな全体像を把握する態度を養ってもらいたい。
さらに、できるだけ多くの機会を捉えて、耳からも英語を入れてもらいたい。

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